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ヴィンテージ鑑定の核心 石の裏側と留め方に見る真贋

インディアンジュエリーの鑑定において、作品全体から放たれる「オーラ」が大切であることは言うまでもありません。しかし、その真贋と価値の核心は、誰もが見落としがちな**「石の裏側」と「留め方」**というディテールにこそ隠されています。

ヴィンテージコレクターが最も注目するこれらの要素を知ることで、あなたの鑑定眼は一段と深まるでしょう。

1. 石の裏側とバッキングに見る年代

ターコイズは、採掘された状態(原石)では硬度が低く脆いものが多いため、ジュエリーにセットする前に裏側を補強する処理が必要です。この裏側の処理、通称「バッキング(裏打ち)」の素材こそが、作品の真贋と制作年代を見分ける重要な手がかりとなります。

  • 初期のヴィンテージ(〜1950年代):
    • しばしば、ターコイズの裏側に泥や土、または古いセメントのような素朴な素材が使われています。これは、当時トレーディングポストで手に入りやすいものを使って補強していた時代の名残です。
    • また、ターコイズの原石のままの不規則な形状を活かしたものが多く、裏側は粗いままです。
  • 現代の作品:
    • 裏側がエポキシ樹脂やプラスチック製の安定剤で均一にコーティングされ、滑らかに仕上げられていることがほとんどです。

裏側をよく観察し、土の質感や古い接着剤の痕跡を見つけることは、その作品が間違いなく古い時代のもの、つまり本物のヴィンテージピースであることの証明となります。

2. ベゼル(石留め)の作りに見る職人技

ターコイズをシルバーの枠に固定するフチの部分を「ベゼル(Bezel)」と呼びます。このベゼルの作り方には、職人の熟練度と作品の年代が色濃く反映されます。

  • ハンドメイドの証:
    • 古いヴィンテージのベゼルは、厚みのあるシルバーを職人が一つ一つ手作業で叩き出し、石の形に合わせて溶接して作られています。そのため、わずかに歪みがあったり、左右非対称であったりします。この不完全さこそが、手仕事の美しさであり、価値です。
  • ギザギザ(セレーション):
    • ベゼルのフチを細かくギザギザに加工する「セレーション」は、ジュエリーに装飾的な美しさを加えます。初期のヴィンテージ作品では、このセレーションが粗く、不揃いであることが多く、それが時代の味を醸し出します。現代の大量生産品のように均一すぎるベゼルは、ヴィンテージとしての価値を損ないます。
  • 高さと深さ:
    • ベゼルが高く、ターコイズを深く包み込むように留められている作品は、石の保護を重視した古い時代の作りであり、素朴で力強いヴィンテージ感を強調します。

鑑定眼を鍛えるために

ヴィンテージ鑑定の核心は、「隠された部分に手を抜いていないか」という職人の倫理観と技術を見抜くことです。ベゼルの裏側や、シルバーと石が接合する部分の仕上げに、手仕事の跡、あるいは時代の証が残っているか。

カチナセカンドでは、こうした目立たないディテールにこそ最高の価値を見出し、お客様のコレクションの真贋と価格を決定いたします。ぜひ、あなたの愛するジュエリーの「裏の顔」を私たちにお見せください。

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